2017年6月  June 2017

6月10日 土曜日

 けさ布団の中で地震を感じた。何年ぶりかのことだった。阿蘭陀にいる間は地震は無かったし、帰国してからもずっと感じることが無かった。だが、久しぶりの地震は特に新鮮でも珍しくもなく、地震そのものだった。恐ろしくもなく、けして軽々しくもない、そのまま受け入れること以外できないものでしかなかった。

 その日が近いと感じるようになっている、以前より。遠のくことはありえない。ただ近づいてくるだけ。その瞬間が、この俺にも来るのか!という感動をもって迎えられれば本望だと、やりきったことなど一つもないが、もう十分だといつでも言えるようでありたい。もう十分、いつでもこれで満足だ。どうもありがとう。

 ユトレヒトのシュローダー邸を訪ねた月夜には、つかの間の愛車のシトロエンが、闇の中で怪しく光っていた。3万キロのドライブが永遠と紙一重であったように、これから山道で展開される退屈な往復も、永遠のうちの一コマとして僕の頭の中だけに封印されるだろう。あたかもハイブリッド。似て非なる色。似て非なる静寂。まるで地平線と山の稜線との差異のようだ。